御異見番

このブログは異見を提供するものである

最初の契約になければ、ボーナスも退職金も払われるはずはないのだが、、 同一労働などこの世に存在しない。

news.yahoo.co.jp

非正規にしろアルバイトにしろ、まずはボーナスにしろ退職金にしろ払われない約束で双方納得して契約したのだから、それを後になってから不合理だと訴えるのはどう考えても勝てるはずがなく、まっとうな判決と言えるだろう。

 

訴える余地があるとしたら、当初の契約内容を大きく超えているにもかかわらず、なぁなぁで正社員と同等の業務を押し付けられていた。にもかかわらず、報酬に差があるのは契約違反だ。あたりかと思われるが、訴えの内容は、どうもそういうことではなさそうだ。

 

同一労働・同一賃金の理念は、それ自体は結構なのだが、それを叫ぶ人たちは世に同一労働なるものが存在すると思っているのであろうか。

 

外からは同じに見える、例えば刺身パックの流れるベルトコンベアの前でタンポポを乗せる仕事であっても、正社員とアルバイト・非正規社員では求められるものが異なる。

アルバイト・非正規社員はただ機械のごとくタンポポを乗せることが期待されているだけであるが、正社員の場合はそうではなく、例えばタンポポを乗せるだけなら機械化した方がいいのではないか。むしろこのタンポポを乗せるのをやめた方がいいのではないか。あるいはタンポポの乗せ忘れを排除するためにタンポポ乗せ治具を用意した方がいいのではないか。などの改善提案を期待されていたり、アルバイトが当日朝にドタキャンした場合には、契約書に書いていなくても2倍のタンポポを乗せることを期待されていたりするのである。

 

労働とは、たんなる見た目の作業だけでなく、その背景にある雇用者の期待に応えることも含まれており、雇用者が各人に期待することはそれぞれ違うのであるから、同一労働なるものはよほどのことがない限り存在しない。

 

 

もちろん、期待を裏切ってただ機械のごとくタンポポを乗せているだけの正社員も多くいるだろう。

だがそれは、その正社員が求められていることを察して対応する能力が足りていないだけであって、あくまで会社としてはタンポポを乗せる仕事を通してそれ以上の成果を期待しているのであり、それが報酬に盛り込まれているのである。

言われた通り本当にタンポポを乗せているだけの正社員を見抜けず、不必要な報酬を払ってしまっているのは会社の人事評価の問題であって、正社員とアルバイト・非正規社員の待遇差の問題ではない。

 

この原告の女性は、正社員と同じ作業をしていたというが、では正社員が求められていたことは何か、理解しているのであろうか。そして、その求められていたことも正社員と同等にこなしていたと説明できるのであろうか。