御異見番

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新型コロナ感染の感染経路公表は他の感染経路を地下に潜らせる

headlines.yahoo.co.jp

事故調査の際に、原因を追究するのではなく人を追及してしまうと、誰かを犯人にしておしまいになってしまい、結果として一番重要な再発防止ができなくなってしまう。

また誰しも犯人にされることを恐れて、再発防止につながる反省や証言ができなくなってしまう。

 

再発防止と責任追及は分離されるべきものだが、この新型コロナ感染にまつわる公表も同じ性格のものであろう。

 

マスコミは感染が防げたかもしれない「可能性」をあげつらって公表しろと迫るが、これは単に飯のタネを増やしたいがためであるので置いておくとして、

新型コロナの感染経路を自治体が公表すると、感染者とその事業者はHPに晒され向こう数か月は営業がままならなくなる。

 

体力のある事業者はなんとか耐えられるかもしれないが、零細の事業者は退場を余儀なくされてしまう。これも新型コロナの犠牲者である。なんなら社会的に死ぬところまで至るかもしれない。言わば見せしめに近い効果がある。

 

自治体が感染経路の事業者を公表し、その事業者が退場してしまったことが報道されれば、その規模以下の事業者は新型コロナが疑われる患者が出た場合必ず秘匿する。

見せしめでつぶされた事業者を見ているのだから当然である。そして公にはならないままひっそりと感染は拡大していく。

 

一方で、数か月を耐えきれる規模のある事業者は自治体に言われなくても公表する。数か月の損失よりも、隠していたことがバレた時のリスクの方が大きいと判断できるからである。

 

つまるところ、自治体としては、公表することで感染を防げたかもしれない可能性と、公表することで他の感染者が隠れてしまう可能性を天秤にかける必要があるのである。

今のマスコミの犯人晒し報道を鑑みつつ、自治体は一度公表し始めたら、大規模事業者だから公表とか、零細なので非公表などといった立ち回りは不可能である以上、言わないから出てきなさい戦略の方が感染拡大リスクを極限できると言えよう。

自ら公表したければもちろん止める必要はなく、どうするかは事業者に任せておいた方が結果として全員の傷が浅くなるのである。

 

マスコミは夜のニュースの題材が欲しいだけなので無視しておけばよく、市民に対しても個人情報だとか苦しげな言い訳をしていないで、言わないから怪しいと思えば名乗り出てほしいとそうはっきり言えばいいのである。